店舗施工例

CASE.20〜FMI棟ラボDESIGN

札幌市北区

LAB DESIGNに寄せて ——未来に誇れる技術の生の場をデザイン——
今回ご縁を頂いた、国立大学 北海道大学FMI棟ラボデザインの施工事例をご紹介します。
LABのコンセプトは、「食と医療の融合=医食同源」です。
北海道の最大の強みである【食】に、大きなスポットが当たっています。
この「空間」から、企業、地域、大学の叡智が集積し未来へつながることを想像してDESIGNのラインを描きました。
scale~スケール~
ラボのデザイン・施工のお話しを頂き一つの言葉よりスタート
それは「scale」 ~スケール~
その言葉からインスピレーションを受けて、「時」というscale〜スケール〜に思いを馳せ、デザインしました。
「人間」も、この宇宙、地球、自然の時間に生きる一部の存在です。
地球=terraと大地=earthが生まれたのは、今から46億年前のこと。
「命」が誕生したのは、5億年前。
やがて「人類」「知恵」「想像力」が生まれたのは20万年前のことです。
想像もつかないほど遙かに長い時間を想像することが、DESIGNを手がける私たちにとって喜びでした。
地球と生命が積み上げてきた「時間の地層」を表現しています。
「直線、曲線の組み合わせ」で地球のラインを再現
私たち「アトリエテッラ」の「terra」とは、地球の意味です。
地球の万物には時間のライン、物質的なラインがあります。
奥行きがあるのは、ラインが交差しているためです。
人間として自然なラインを描きたいと考えています。
「医食同源」の拠点に、北海道の素材あり
研究室だからこそ、「深呼吸するように研究へ没入できる空間作り」をしたいと考えて、
北海道原産の木壁面に使い、造作家具テーブルと、「直線」と「曲線」を交差させました。
人も社会も、「本来の自然のいとなみ」に感謝し、原点に立ち返るとき、それが今であること。
LABデザインに関わりながら、そのような気持ちを抱きました。
昔は治癒の道がなく、
諦めなければならなかった病にも医療の発達のおかげで、光の道が見えはじめています。
FMI棟ラボから、今の時代に求められる「モノ・コト」が生まれ、
時空を越えて未来に役立つことに願いを込めています。
研究に取り組む「人」支える「人」が心豊かに、発展的な時間を過ごしていただけるよう地球との融合をテーマとして、デザインに息吹を与えました。
場所ごと詳細ご紹介

壁面・・・三面異なる素材とテーマで、北海道の風土をデザイン。

一、地層・・・空、大地、海のグラデーションを土で表現しました。地層は、Scale=時間の営みそのものです。46億年前に地球が誕生して以来、ずっと折り重なり続けているのが地層です。
地層を表現するだけでなく、せっかくなら地層から空までを土壁で表現できないものかと考えたのです。
ある日、小樽市銭函の小高い丘から偶然にも虹が見えた時、海の中〜海から上の空、雲の上を連想したのです。海の下からはきれいな虹が見えるはず。そのインスピレーションをもとに、海の中から空までを、日本の建築素材として伝統が受け継がれる「土壁」に仕立てました。時間も織り込んだ層になっています。海から空に向かうほどに境目はぼやけていき、integrate(融合)を表しています。

二、 木の壁・・・北海道産の4種の木と、北海道の木工職人が織りなす「柔軟性」の演出。

北海道産の木を4種類組み合わせた組木の壁は、自然光を受け入れてありのままの色を見せます。
木は地域ごとの空気、土、水、温度、湿度が育んだ芸術作品です。4つの木の組み合わせが点、線として合わさり、一面の壁ができました。ランダムな木のならびがいっそうリラックスさせてくれます。
窓枠にもこだわりました。「R」(アール)を表現した出窓の入り口は、アーチ状になったところに、職人が組木をひとつずつ手作業ではめ込んでいます。見た目だけでなく機能性も欠かしません。出窓との導線をスムーズにするため、書棚に丸みを帯びさせ、窓にゆうゆうと手が届くようにしています。実はここでも、地球の丸さを表してみました。
三、 枠の壁・・・思い描いた発想を書き留める「木枠」の壁
枠にとらわれない、木枠の壁・・・、矛盾するように思えますが、この枠には着想と発展の願いを込めています。依頼主様の席の向かいに位置する壁に、大小5つの「箱」にも「枠」にも見えるアートをデザインしてみました。「箱の中のユートピア」で有名なコーネルのアートより着想したものです。コーネルは木枠の箱に何でも詰め込みました。あるときはピアノを、あるときはこの惑星全体を枠の中に囲んでしまいました。するとたちまち、それはアートになります。
枠とは自由とは逆の存在に思えますが、自由なものを枠に取り込む、逆の発想です。無限のアイディアを、自由な発想をここにディスプレイしていただきたいと考えました。

机・・・同じ空間ではたらく人と人の循環をイメージした「互いに向き合わない机」

研究が生み出される机は、過ごしやすさを第一に考えて設計しました。アメーバのように広がるデザインは、見た目の希少性を追求したのではなく、あえて「角度」をつけることで、椅子を4脚置いても互いに向き合わせにならないように工夫しています。「循環」は、陰陽五行の木・火・土・金・水(もっかどごんすい)の考え方に通じています。
また、机はもうひとつあります。秘書の方が使う作業机は、ご本人の身長に合わせたつくりにフルオーダーメイド。コンパクトにまとめられたキッチンや流し台との空間を仕切る役目も担います。衣食住、使いやすくつなぐのもデザインの役目です。

照・・・空間を照らすだけでなく、地球と宇宙をつなぐ明かり

天井からは、月桂樹をあしらった照明と、三つの球体照明を配しました。
光がなければ、色を感じることはできません。どんな存在も、光があたるからこそ影がくっきりとみえるものです。北海道の素晴らしい素材・・・土、木も、すべて光があればこそ、その地域ならではの景観色を感じ取ることができます。やさしく照らす光で、ラボの空間をひとつにつなぎます。
時間・人間(じんかん)を「空間」でインテグレート
分業から、個人の再成長へ。
対症から、予防・共存共栄へ。
母なる大地に生きるものどうし、互いに手を取り合い進むとき。
探求の深化、交流の進化、おのおのが統合することを願い、ラボの未来を見据えたSTORYを紡ぎました。
幾重にも重なる地層と、人の歴史を重ね合わせ、一面の壁で表現しました。
地球誕生の瞬間から止まることのない時間と、人間(じんかん)と交わす心と智慧を、ラボ=空間にデザインしました。
部分から、統合、インテグレートの時代へ。
アトリエテッラが提案します。
還元=ここに還る。
AI時代の到来。人はそれぞれの背景で、最善、最良の選択をしてきました。
西洋医学の発展。東洋医学への回帰。フード、メディカル。
そのどちらも、すべては人が考え生み出してきたこと。
今、そのすべてを否定せず、偏らず、地球と同じくして「地軸」を持ち人間本来の生き方に立ち返る時代がやってきました。
アトリエテッラの「テッラ」とは、地球のこと。
地球上にある可能性をみつけ、命をはぐくむ「空間」で表現し未来をともに目指します。